「利用って?どういう意味だ?」

「露店のおばちゃんの話を思い出せ。王女が失踪したという噂が最近聞こえてきたと言っていただろ?」

「ああ…言ってたな。それが?」

昼間の事を思い出しながらリュートがうなずく。

「それが広まって誘拐しようとガラの悪い奴らが集まってるって事だったよな?だから、俺達を利用して、手っ取り早くこの島を出ようとしたんだろ?」

ガルの言葉にシーファは小さくうなずいた。

「ええ、万が一でも捕まったら父に居場所が知れる。その上、誘拐なんて迷惑…かけるわけにはいかない、だから、早く遠くに行く必要があった。そんな時、あなた達がこの島にやって来た…」

「なんだよ…それ…海宝堂が気に入ったからって言ってたじゃねえかっ!
嘘だったってのかよっ!」

座っていた椅子を倒す勢いで立ち上がってリュートは怒鳴った。
でも、シーファはそれにひるむことなく、自分も声を大きくした。

「違うわ、本当に素敵だと思ったの、あなた達は他の奴らとは違うって信じたの!だから、全部話そうと…」

確かに…シーファは何かを話そうとしていた。そこにクルトがやって来て話しは途中になっていた。

「お願い、私を仲間に、とまでは言わないわ、だけど、この島ではない所へ連れていって!
それだけでいいの、後は自分でなんとかするから…」

必死の願いの言葉にも3人は何も返そうとしなかった。
シーファは力なく肩を落とした。横からカーラが支える。

「シルフェリア様…この方達がダメなら早く次の方法を考えましょう、時間がありません。」

「そうじゃ!孤児院で何があったのだ?
倒れておった男どもは一体…」

シーファの身に危険が迫っていると、カーラは起きたことを話した。
奴らに正体がばれ、1人を逃がしてしまった、と。

このままではシーファを狙って島に悪人達がやってきつしまう。
この島を出るのが一番だ。

「それは大変だ。今、船の準備をしよう!」

しかし、シーファは黙って首を横に振った。