ガルが王女の絵をテーブルに置くとリュートが覗きこんで、目を丸くした。

「なぁ…この姫さん、シーファじゃねぇか?」

「何、言ってんの?そんなわけないでしょ?王女様は長い黒髪に白い肌。シーファは金髪に小麦色に妬けてたじゃない。」

「うーん…じゃ、似てるだけか。」


「そんなに似てる?自分じゃよく分からないんだけど。」

後ろからの声に、リュートが振り向くと、シーファが立っていた。

「シーファ。どうしたんだ?子供の世話はいいのか?」

「やっぱり、おばちゃんに私の事聞いた?」

リュートの全く考えなしの発言にニーナとガルは睨み付ける。
でも、シーファはいいの、と言って空いている席に腰かけた。

「もう大丈夫。ご飯さえ終われば後はみんなちゃんとしてるから。」

「そうなの…それで、自由時間にお酒でも飲みにきたの?」

「ううん、みんなに会いに来たの。」

シーファはみんなの顔を見回した。

「私達に?」

「嘘だぁ〜!俺達じゃなくて、ガルに、なんじゃないの〜?―――――いでぇっ!」

軽口をたたくリュートの足に激痛が走った。
涙目で見上げると、鬼のような形相のガルが睨み付ける。

「フフっ…違うの、みんなに相談があって来たの。」

「相談って…でも、私達はこの島の人間じゃないし、大人数で暮らしたことないし、ましてや子供の世話…ま、子供なら1人いるけどこいつは特別だし…」

「誰が子供だっ!」

「あら、よくわかってるじゃない。
とにかくそんな私達に相談しても…」

ニーナの話にシーファは首を横に振った。

「相談は、人間関係じゃなくて、育児でもなくて…」

シーファが意を決したように表情を引き締めたので3人にも緊張が走った。

シーファは深呼吸して、口を開いた。

「私を、一緒に海に連れてって!」

「ああ、海に…」
「連れてって、ね…」
「一緒に…」





『ええええええ――――――――――――っ!!?』

3人の絶叫が食堂にこだました。