「なあなあ、海宝堂って知ってるか?」

島に着いて、珍しそうに彼らの船を見ている女の子にリュートは話しかけた。

「なあに、それ?」

と首を傾げる女の子に、リュートは語り始める。

「海にはな、たくさんのお宝が眠ってるんだ。
で、俺らはそれを探して旅をしてるんだ。その俺らの名前が『海宝堂』。
モットーは『宝の為ならどんなことでも』!
たくさんのお宝があっても、そうは簡単に見つからないからな。
波はいっつも定まらなくて、船はぐわんぐわん揺れるしよ、ものすごい嵐に巻き込まれてもみくちゃにされたりな〜
でもって、海には今まで見たことも聞いたこともないような生き物がうじゃうじゃしてやがる。
そんなのを全部乗り越えて、この世にお宝を解き放つ。
それが、海宝堂の仕事だ。」

身ぶり手振りを交えたリュートの説明に女の子は次第にその目を煌めかせる。

「リュートぉー、何やってんの?ちゃんと仕事しなさいよー」

向こうから2人の男女が近づいてくる。

「お兄ちゃんの仲間?」

「ああ、女の方がニーナ、男がガル。
あ、俺はリュートな。
俺らは世界の隅っこにあるような、小さい島国の幼なじみでよ。
俺が3人の秘密の場所で2人を誘ったんだ。

『世界の海にある宝はすげぇに決まってる!俺らでそれを探しに行こうぜ!』ってな。」

リュートは2人がかなりの乗り気で話が決まったと話したが、実際は生まれた時から好奇心旺盛だったリュートに突然言われ、言い出したら、例え1人でも行きかねないと知っているので、兄のように育ったガルと、同じく姉のように育ったニーナは、共に旅立つことを決意したのだった。

女の子に良いように説明しているリュートの話を聞いて、2人は苦笑いを浮かべた。