海宝堂〜海の皇女〜

中央に彫り込まれた、城の形。
それが、この城。

そこからずーーーーっと下の方に彫り込まれた小さな建物。

そこに視線を集中させると、後ろに急に気配が生まれた。



「…………昔、魔女の住んでいた館じゃよ。」

『うぎゃあっ!!』

4人は身を飛び上がらせて驚いた。

いつの間に近づいたのか、一人の年老いた老婆が立っていた。

バクバクする心臓を押さえて、老婆に視線を集める。

「魔女の館?」

「この人、誰?」

「知らない…まだ城の人全部知らないもの。」

「つーか、全然気配がしなかったぞ…」

ガルの後ろで3人がひそひそと話す。
老婆はそんな3人をギロリと睨んだ。
3人は慌てて姿勢を正す。

「…魔女の館には、その昔、魔女が自在に操った魔法の全てが遺されているという。」

「なんでそんなものがいまだに残って?」

「渦巻いておって海の中からでは、行けんのじゃよ。
夢半ばで泡となって消えた魔女の怨念が館を守るようにの…」

老婆の言葉を聞いて、シーファを除く3人が身を乗り出す。

「え?え?
どうしたの?」

「その魔女はたくさんの魔法を使っていたのね!」

「魔法の薬や呪具なんかもたくさん持ってたのかっ?」

「それで、今まで誰もそこに立ち入ってないんだな!」

流石にその迫力に老婆も後退りする。
そして、言葉もなくうなずいた。

3人の顔が煌めいた。

シーファはおいてけぼり…

「ちょっと!なんなの?ねぇっ!」

リュートがシーファの肩をガシリと掴む。

「魔女の館だぞ!
絶対にあるんだよ!」

目をパチクリさせるシーファ。

「不思議な現象が起こってる場所には必ずお宝があるんだ!」

「しかも!大昔の魔女のお宝…期待度満点よ!」

「じゃあ…」

やっとシーファの顔も煌めいてくる。

「決まりだな。
次の目的が。」

4人が高々と腕を振り上げた。

『次は、魔女の館でお宝探しだぁっ!』