マシュー号へもどる道すがら、ガルは城でセイドから聞いたヌルドのことを思い返していた。

―ヌルドは魔女の末裔だ…
人魚姫にでてくる、あの声を奪った魔女の。

魔女もまた王子に恋をしていたのだ。だから、人魚姫を追い落とそうとした。

手に入らない光を求め、返り討ちにあったのだ。

そしてヌルドも、本人はそれほど自覚はしておらなんだかもしれんが、心の底でシーファを恋愛の対象として、シーファという光を求めていたのかもしれんな。」

道を歩きながら、ニーナと笑い合うシーファの後ろ姿をガルは見つめた。
シーファをその手にかけたと絶望して、泡となっていったヌルドのことを思うと、少し後味が悪かった。