ぽっかりと開いた建物から覗く海は、ここに来たときと同じで美しかった。

その海にヌルドとシーファが昇っていく。

「シーファ!待てよ!
おい、ガルっ!ボケッとすんな!追うぞ!」

「リュート!待って!
バルーム持ってくるから!」

ニーナが部屋を飛び出そうとした時だった。

ずいぶん上まで昇ったヌルドが突然こちらを振り向いた。

「………ヌルド?
どうしたの?何をするつもりっ?」

問いかけるシーファにヌルドは言った。
冷たく笑いながら…



「…あの城…やっぱり、目障りですねぇ…」



「――っ!やめてっ!約束が違うっ!」

城に向けて光を強くしていくトライデントを構える腕にシーファは必死ですがり付いた。
トライデントの力なのか、ヌルドの元々の力なのか、シーファはすがり付くだけで精一杯だ。

「やめてっ!
あそこにはみんなが…たくさんの人が…っ!」

「ええいっ!うっとおしいっ!」

ヌルドはシーファを球体の外へと突き飛ばした。

そして、トライデントの切っ先にエネルギーを集中させていく。


「見ろ!シーファが、逃げ出したぞ!」

リュートが叫ぶ。

「えっ?
でも…様子が変よ…?
トライデントが光ってる…」

「…いかん…逃げろっ…」

意識を取り戻したセイドが言う。

しかし、もう準備は整ってしまった。

「はーぁっはっはっはっはああっ!
みんな、みんな、消えてなくなれぇいっ!」

邪悪な光が放たれようとしていた―――!