「いい目をしている。
その目がもう一度、闇に染まるのを間近で見られるのは至福の喜びですよ。」

そう言いながら、頭から頬に手を下ろす。
シーファはその手を払いのけた。

「さて…次は、あいつらだ。もい二度と邪魔されるのはごめんですよ。」

予想以上にヌルドはトライデントを使いこなせていた。
なぜなのか…?
血を引く魔女の力がそうさせているのだろうか。

それならば、もう持たせておくわけにはいかない!

シーファはトライデントに手をかけた。
が、ヌルドはその身をトライデントごと捻り、二、三回転したあとシーファの背中を蹴飛ばした。

(身体能力もすさまじくあがってる…この力が皆に向いたりしたら…)

再びヌルドに向かっていくが、遅かった。

ヌルドはトライデントを振り、ガル達に無数の針の雨を降らせていた。

今度はさっきのような大きな物ではない。
一発一発は小さくとも、避けきれないほど大量で隙間のない針の雨。

ガル達の体に食い込み、突き抜けていった。

壁に阻まれ声は聞こえないが、その表情に、シーファはヌルドの腕にすがりつく。

「もう、止めてぇっ!」

ヌルドはシーファを突き飛ばし、トライデントの先を首に突き付けた。

「では、私についてきますか?」

ニヤリと笑い、ヌルドは残酷な取引を持ちかけた。