ヌルドがシーファの手を取り、その首にトライデントをあてがい、強く締めた。
シーファの手はバタバタと空を切り、壁に触れることはできなかった。

「このっ!」

すかさず、シーファが戦闘体制に入り、肘をヌルドの腹めがけて下ろす。


「…王と王妃はどこに?」

耳元で言われ、シーファの動きが止まる。

そういえば、大津波から、セイドとアリアの姿が見えない。

ヌルドがトライデントを動かし、シーファに上を見るように促す。

そこには、自分が入れられていたのと同じ球体に入ったセイドとアリアの姿があった。

「父上っ!母上っ!」

シーファの視線の先をガル達も見上げる。

「王様達がっ!」

「シーファみたいに抜けられないのかよっ!」


ヌルドがまたシーファの耳元で囁く。

「誰かさんが思いっきり痛め付けましたからねぇ〜
王家の力を集中させるなんて気力残ってないでしょうねぇ〜…
あれを解除して、あの高さから落ちたりでもしたら…」

シーファは腕を降ろし、抵抗を止めた。

ヌルドはシーファの腕を引き、壁から離す。

ヌルドに従うシーファの頭をヌルドが撫でる。
シーファは抵抗しないまま、ヌルドを睨み付けた。

ヌルドはそんな目を見て、嬉しそうに口を歪めた。