シーファは必死で球体から出ようとして、球体を叩いていた。

「シーファ!」

「…シルフェリアはこちらの手に渡ってしまいましたよ?
さて、どうします?」

ガルが走り出し、目の前の壁を殴りつける。

壁は壊れるどころか、拳が跳ね返ってくるほどだ。

「その壁は、下からものすごい速さで水が流れています。
その力に勝てるものなどそうそうないでしょうねえ…」

「ガルっ!どいてっ!」

ニーナがありったけのエネルギーを込めて弾火を放つ。
少しへこんだりはするが、下から流れる水がすぐに修復してしまう。

きっと地変で石に変えようとしても、次々と流れる水に地変を固定できないだろう。

万事休す―――

簡単に終わると思った戦いが、最悪の結末へと向かっていた。

「はっはっは!
仲間?覚悟?そんなものが今、役に立ちますか?

全ては力!
何者をも押さえ込む力が、一番重要なのですよ!」

ヌルドが高らかに笑い声をあげる。

その横でシーファは静かに目を閉じ、紋章の前で手を組んでいた。

すると、シーファを捕らえていた球体がその効力を無くし、シーファは床へと降り立った。

「…流石に正統な王家の者を拘束はできませんか…」

シーファはヌルドを睨むと壁に走っていった。
同じように壁もその動きを止めようとした。

あと数センチ。
シーファの手は届かなかった。