「だからといって、あいつを逃がすわけにはいかない。
この国の為にも、あの神器を取り返すんだ。」

ガルがヌルドに向かい、地変を構える。

「当然。
今度は雷流使い放題だからな!」

リュートは鞄から雷流を引き出した。

「邪魔者はいないし、ラスポス退治といきますか!」

ニーナは両手に弾火を構えた。

シーファは頼もしい3人の背中に嬉しさを隠せないでいた。

「こざかしいっ!
この王家の絶大なる力を手に入れた私に、お前ら人間が敵うものか!

シルフェリア…さあ…こっちに戻って…
私と共に新しい国を作るのです!」

「…最初に言ったはずよ。
お断りします、ってね。」

「―――くそぉっ!
この人間めぇっ!」

ヌルドがトライデントを振り下ろす。
さっきと同じ針状の水が、こちらめがけて飛んできた。
しかも、一本一本が、太い。
一本でも当たれば、致命傷は免れない。

が、4人は軽々と送り出される針を避けていく。

「なんだ、こんなもの!
シーファの竜の方が速かったぞ!」

「まだ、王家の力に慣れていないんだわ。
トライデントを使いこなせていない。」

シーファにそう言われ、ヌルドは意地になったように針を飛ばすが、まったくダメージはない。

簡単に勝負は着くと誰もが思っていた。