4人は部屋の真ん中で喜びを分かち合っていた。

しかし、全てが終わった訳ではなかった。

急にシーファの顔色が変わる。

「――!
伏せてっ!」

そい叫んだのと同時に床に伏せると、頭の上を何かが通り過ぎていった。


「……感動のシーンのところ、大変申し訳ないのだが…
残念ながら、ハッピーエンドにはならない。」

何かが飛んできた方にはヌルドがトライデントを片手にそう言った。

「ヌルドっ!あなた、今…」

「シルフェリア…私とあなたで、この海を支配するのにはこいつらは邪魔なのですよ。
やはり…最初に殺しておくべきでした。」

薄気味悪く笑うヌルドの様子に、リュートが首をかしげる。

「あれ?なんか、あいつ、変わってねえか?」

トライデントを持つヌルドは黒いマントの下に今までつけていなかった鎧をその身につけていた。
そして、頭に王冠らしきものもかぶっている。

「…王家の力よ。
トライデントを持つと、王家の者じゃなくても、水を自分の意思で自由に形づくれるの。
私の竜のように、あいつは鎧を作った。
さっきのも…」

シーファが後ろを見ると、壁に針状の水が突き刺さっていた。

「げ。結構太い。
あれをまともにくらってたら…」

「あっちは、私達を殺る気満々ってことね…」

ヌルドのまがまがしい殺気に額から汗が流れた。