「ドレス、捨てちまうまえに、ガルが三枚、この布切れの分だけ切り取ってたんだ。
汚れてない、綺麗な所を。」

リュートも立ち上がり、シルフェリアの目の前で布切れをかざす。

「お前はあの時『覚悟』をしたと言った。

だから、俺達も『覚悟』をしたんだ。

お前をもう二度と、置いてはいかない、と。

これはその覚悟の証。
そして、お前の背負っていた物の、捨ててきた物の重さを忘れない為にいつも持っていることにしたんだ。」


「そんなの…知らない…
全然…知らなかった…」

「誰かさんが恥ずかしがりやさんだからね。
あの狭い船の上であんたに見つからないように、3人で内緒話するの大変だったのよ?」

ゆっくりと、でも着実に3人はシルフェリアに近づいていった。

その顔は優しく笑っている。

「シーファ。
もう、こんなこと止めようぜ?
俺達、仲間だろ?」


「…仲間…」


「そうだ。
俺達は、お前を置いていこうなんて、一度も思った事はない!

そう思わせちまったのなら謝る。
だから、もう、いい加減に目を覚ませ!」

ガルがシルフェリアの手を握った。
その手にリュート、ニーナが手を重ねる。

シルフェリアは振り払う事もできずに、ただ、3人の笑顔を見つめた。

「リュート…ニーナ………ガル…」

シルフェリアが呟くと、鎧の胸の辺りが音を立て出した。