「リュート!ニーナ!
大丈夫か?」

ビュウを仕留めたガルが2人に駆け寄る。

「…ガルの方が酷いじゃない。」

「でも、やったな!
これで残りは…」

3人がヌルドを睨み付ける。
ヌルドは2人がやられたというのに、汗一つ、シワ一本浮かべていなかった。

「…余裕ぶっこきやがって!今度はお前の番だからなっ!」

リュートが攻撃を繰り出そうと床を蹴った時――

「ウォオオオオっ!」

アーターががばりと起き上がった。

「なっ!」
「うそっ!」

リュートとニーナは驚きが隠せなかった。

アーターは大きな両手を振り回す。
もう本能のみで動いているようで、獣のように暴れた。

繰り出される攻撃に3人はなすすべもなく、避けるしか出来ない。

アーターの後ろでヌルドがニヤリと笑う。

「こいつ…っ…なんなんだよっ!」

「やっぱり、もう一発…きゃあっ!」

ニーナが足をもつれさせる。
アーターの手が頭上に迫る――

――それは一瞬だった。
ニーナに攻撃しようとしていたアーターが、後ろからやって来た誰かに、頭から床に押し付けられた。

押し付ける…軽い言い方だが、本人はまさにその軽さでアーターの巨体をあしらったのだ。

床は砕け、訳もわからずにアーターは静かにさせられた。

まきあがった砂塵…
その向こうから見えるのは銀の鎧に赤いマント。

長い黒髪をなびかせて、シーファがそこに立っていた。