「な、何をしたんだぁ?一体…」

「し、知らないわよっ!
ただ、このボタンを…」

ボタンをよく見ると、小さな文字。

「…自動操縦、解除ボタン??
…………ああ!今までは自動操縦で、だからスピードが出なかったのか〜!
そんな時にいじり倒して、そのまま解除しちゃったから、スピードが一気に…
自動操縦なんて機能、リルトのには付いてないわよね〜…
なるほど!スッキリした!」

「納得してんじゃねぇよっ!早くなんとかしろぉっ!」

1人納得して、スッキリした顔のニーナにリュートが叫ぶ。

ニーナがおそらくこれが速度調節だろうと思われるレバーをゆっくりと元に戻そうとした時だった。


ビュンっ!


何かが、横を通りすぎて行った。

「な、何っ!?」

「シーファだっ!
シーファが乗ってたっ!
急げっ、戻るんだっ!」

ガルが叫ぶ。
ニーナは急いで速度を緩めると、ハンドルを握って来た方向へと向けた。

「ホントにシーファか?」

「間違いないっ!」

「で、どんな様子だったの?」

「一瞬でそこまでは…とにかく、急ぐぞっ!」

ニーナはレバーを握ってスピードを上げた。

シーファが乗っていると思われるバルームはすでにその姿を消していた。


しばらく走って、城が遠くに見え始めた頃、リュートが城を指差した。

「おいおい…あれ、煙じゃねえかっ!」

泡に包まれた美しい城から、何本もの煙が立ち上っていた。