2人の人物をみるやいなや、親衛隊の兵士達はバルームから急いで降り、2人に敬礼をした。

「セイド王!アリア王妃!只今戻りましたっ。」

「うむ、ご苦労。
報告は後で聞こう。こちらが、あの神殿を通ってきた方達か?」

王の優しい笑顔がこちらに向けられた。
シーファ達は慌てて頭を下げる。

「村も救っていただいたようで…どうもありがとうございました。」

王妃がとても上品に頭を下げる。またシーファ達は慌てて頭を下げた。

「色々話も聞きたいし、どうぞ城の中へ。」

この者が案内します、と、城の内部に続く廊下にメイドが並び、その中の1人がすいっと歩み出た。

一旦、王達と別れて廊下を進む。
中の装飾も素晴らしく、リュートは上ばかりを見て歩いていた。
シーファ、ニーナ、ガルはそんな余裕は無かった。
どこか怪しい。そんな予感が頭から離れなかった。

「こちらに着替えがございます。男性の方はこちらで女性の方はこちらへどうぞ。」

メイドに促され、すっかり汚れてしまっていた服を着替えさせられた。
着替えが終わると、そのまま大広間へと連れていかれた。

「ねぇ…準備よすぎよね?」

ニーナが疑念たっぷりに言うのにシーファはうなずいた。

「…私達があの神殿から来たのも知ってたみたいだし…一体どうして…?」

しばらく大広間で待たされると、セイドとアリアがやって来た。

2人は4人の前に立つとじっくりと顔を見回した。
その中でも、シーファを見る目は特別なものが混ざっているようだった。

「村を救ってくれたこと、もう一度お礼申し上げます。
お名前をお聞きしてもよろしいですかな?」

「ああ!俺はリュート!
―いてっ!」

「バカ、相手は王様よ?言葉遣い。…すみません…
私はニーナと言います。」

「俺はガル…です。」

「あ、シーファと言います。あの…いくら村を助けたと言ってもこちらも助けて頂いた身ですし…その…」

シーファが申し訳なさそうに言うが、2人はシーファが名乗った時点で顔色を変え、耳に入っていないようだった。