「村から出ていけっ!」

「ああ、言われなくてもこんな村、もう興味ねえさ。まだ立ってられるのは、おまえらぐらいだからなぁ!」

下品な笑いをあげる男達に、男の子は拳を握って飛び掛かっていった。
しかし、あっけなくはじきとばされ、泡の外にまで出てしまった。

シーファ達は目を疑った。
外に出た男の子の足が、外に出た瞬間、魚の足のように変わったからだ。
つまり…彼は…人魚!?

「おいおい、お嬢ちゃん達。あれくらいで目を丸くしてもらっちゃ困るぜ?
あんなガキ、力の十分の一もいらねぇぜ。」

シーファ達の驚き所を勘違いした、男達はまた下品に笑う。

「うぉおおおっ!
人魚だ、人魚だ!俺、初めて見たよ〜」

「私達だって初めてよ…実在したのね…」

「なるほど、こうやって生活をしていたのか…意外だな。」

男達なんかそっちのけで、外を泳ぐ男の子を興味深そうに眺める。
男の子はこっちに向かってくると、泡に突っ込み、通り抜けて降り立った。

ヒレはすでに足に変わっていた。

『おおおおお〜』

「おねいちゃん、おにいちゃん!僕なんか見てる場合じゃないよ!」

「ねえねえ、この泡を抜けると服とか乾くの?だからヒレが足になるの?」

男の子を取り囲んで、あれやこれやと質問攻めにする。
リュートなんかは面白れぇ!と手を出したり入れたり、繰り返している。