「なあなあっ、どうやってここ、見つけたんだ?」

はしゃぐリュートにガルは泡の外を指差した。
そこにはさっきのイルカが回遊している。

「あ!あいつ…」

「あのイルカの後を追ったらここにたどり着いた。
お前を沈めたのは、俺達を誘い込むためだったのかもな。」

「それってなんの為?
ただ、観光に呼んでくれたの?」

ニーナがバカにしたように言った。

「私達に何か、してほしいんじゃ…?」

何かって?と言われ、シーファが答えあぐねていると、一人の男の子がこちらへ走ってきた。

「!だ、誰だ!おまえたちっ!あいつらの仲間かっ!?」

リュートの半分くらいの小さな男の子は、シーファ達を見るなり、敵意を剥き出しにした。

「あいつらって…
あのね、僕。私達はあのイルカにここに連れてこられたの!」

「イルカ…?
フリップ!無事だったのか!
フリップが連れてきたって…おねいちゃん達、強いんだね?」

男の子はフリップと呼ばれたイルカを見て、突然豹変し、ニーナの手を掴んだ。

「強いって…」

「ああ!強いぞ!さっきめちゃくちゃでかいカニをこらしめてやったとこだ。」

リュートが胸を張ると、男の子はニーナの手をぐい、と引っ張った。

「お願い、助けて!
今、村に悪い奴らが来てて…フリップは強い人を呼びに行ってたんだ!」

男の子が言うのと重なって、向こうの方から悲鳴と激しい物音が聞こえてきた。

「―――ぐっあああっ!」

頭から血を流した男が吹っ飛んできて、その後をいかにも悪そうな奴らが追いかけてきた。

「おや〜こんなとこに小さい獲物だ。
ん?なんだ、まだ大きいのもいるじゃねえか…」

ジリジリと近づく男2人を男の子は睨み付けた。