(やっぱり海に続いてた…)

ゆったりと辺りを見回す。一面が真っ青な世界に赤やピンクの珊瑚、色とりどりの魚達。
心洗われる風景に一同は一瞬進むのを忘れた。

と、シーファの背中を何かがぐんっと押す。

いきなりの事にシーファの口から空気が漏れる。
背中を押すのはさっきのイルカ。しかし、リュートの姿はどこにも見当たらなかった。

ガルがイルカの横っ面に足を伸ばす。
イルカはシーファの服をくわえるとぐんっとスピードを上げので、足は届かない。
咄嗟にガルはシーファの手を掴んだ。シーファも握り返す。ニーナの手も掴むが、イルカはそんなことお構い無しに3人を連れて泳いだ。

岩の後ろに連れていかれたと思うと、柔らかいものが体を包み、急に重力を感じて下に落ちた。

「――痛いっ!なによもう〜…え?」

ニーナは腰を打ったらしくさすりながら起き上がる。
…違和感を感じた。
確かに海の中だったはずなのに、落ちて、痛くて、話せる…

「どうやら、これのお陰のようだな。」

ガルが立ち上がり、目の前を泳いでいる魚に手を伸ばす。
その手は魚に触れる直前でなにか別のものに触れた。
弾力性があり、ほどんど透明で、ガルが手を離すとぼよんと大きく波打った。
それが足元から頭のずっと上、右から左、ぐるっと囲んでいた。
まるで大きなシャボン玉だ。

「リュート!リュートっ!しっかりして!」

シーファの声に2人はそこに倒れていたリュートに駆け寄る。

「シーファ、そんなに揺すらないで。リュート、リュート?」

「少し水を飲んでるな…」

ガルはリュートの胸に軽く拳を下ろした。

「…げほっ…げほっ!…」

リュートが水を吐いて、飛び上がった。

「…あ?俺…どうし…
!!あんのイルカっ!どこ行きやがった!」

立ち上がり鼻息を荒くするリュートだったが、自分のいるばしょにだんだん顔色が変わる。

「うっお〜なんだよ、ここ!海の中じゃん!」

そのキラキラした目にニーナはやれやれ…と首を振った。