*輝星side*
「…」
樹が離れていってから、沈黙が続く。
「ね…アレ、心愛?」
そう言った蛍の視線をたどると、そこにはナンパをされているのか、4人の男にかこまれている心愛がいた。
「僕、行ってくる!」
そう言って一目散に走っていった慎。
途中で、樹も呼んで心愛に近づいていく。
俺、行かなくてもいいのか…?
さっきの樹の言葉が、繰り返される。
“逃げてるだけ”
そうだ…。
俺は、逃げてた。
怖かったんだ。
“そんな程度の気持ち”
違う。
今でも…
妃奈が隣にいても…ずっと心愛のことばかり考えてた…見てた。
「行かなくて、いいの?」
そう聞いてきた妃菜。
「ごめん」
俺がそういうと、妃菜は優しく笑ってくれた。
俺は、心愛の元へ走りだした。



