学校についた頃には、チャイムがお昼を告げていた。
全校で4人しかいないため、全員は食堂へ集まる約束になっていた。

「お前、また遅刻しとんか?」

食堂のドアノブに手をかけようとした時、後ろからこんな文句が飛んできた。
いつも、こんな風にきいてくる人間は一人しかいない。

「そうですよ、黒沼先輩」
いつもの第一声に、僕はいつものように答え、振り向く。
その黒く長い髪は腰近くまでキレイに伸び、端からみるとまるでどこかの御令嬢……にも見えなくないこの人。
隣の家の二つ上の、僕の最も好きな先輩だった。