今までの平凡な日常を考えると、それは唐突にやってきたのかもしれない。
小説で見るようなドラゴンや魔法、超能力の類ははじめから信じてはいないし、なにより僕らのいた街はそんな縁もゆかりもないただのいなか街だった。

だからこそ、僕はなにも考えずに手を伸ばせたのかもしれない。


平和という言葉を具現化したらきっとこんな田舎が当てはまる。
井音 了(いね りょう)はそんな事を考えながら学校へと自転車を走らせた。

太陽が真上を照らす。
いつも通り、遅れて学校へと向かった。