壮大な紫紺の空に、寂れた街から消えゆく陽。

「こんな世界」

積もり続ける絶望。崩れ落ちてゆく希望。

彼女は言う。淡々と言う。

「なくなってしまえばいいのかな?」

胸の中を襲う罪悪感、脳裏に焼きつくその姿。

そして歯車は、新たに動き出した。


第五章――愛しさと、絡まる指