サファイヤアンドロイドの夢

ライラに内緒で処分しろと命令したにも関わらず、例のブランケットはライラの目に触れてしまったらしい。


「あいつね!あいつが吐いたのね!貴重な食料だって言ってやったのに!」


ライラはそのままの感情を表に出す。
私は、この身体の中で畝る感情をどう表現したらいいのかすらもわからない。

この差はどこから生まれてくるのだろう。
ブレインの質も、身体の機能すらも、すべて私の方がライラよりランクが上のはずなのに。
私は自分の感情すら対処することが出来ない。


「どうしたの?ジェイル、元気がないのね?」


黙り込んだ私を、ライラは心配そうに見つめ、「私が必要?」と短く聞いた。

私は首を振る。

「そう。」

ライラが私の首に両腕を巻きつける。
私の肩ぐらいまでしか身長のないライラは、それをするとほぼ私の首にぶら下がるような格好になる。
ライラの身体は柔らかく、温かい。
その為に、作られているのだから。