サファイヤアンドロイドの夢

画面にアンドロイド達に自由を説くMr.Dの姿が映し出された。

私は画面から目を逸らす。
男は画面を見つめている。


「くっさい台詞―。」


スピーカーから聞こえるMr.Dとまったく同じ声で男が言う。


「納得したか?」


私の問いに、男は拗ねたように答える。


「わかんねーよ。俺、自分の顔も覚えてないんだから。」


男の答えに、私は映像を消すために立ち上がった。
その腕を掴んで男が止める。


「もう少し見ていたい。いいだろう?」


私は男の手を振り払い、ベッドの上に座りなおす。
なぜ男が見ていたいなどと言ったのかわからなかった。
Mr.Dの演説は続いている。
私は聞いていたくなかった。