サファイヤアンドロイドの夢

「気安く呼ばないで。あたしの名前は、Mr.Dがつけてくれた大事な名前なんだから。」


ライラは自分の名前に誇りを持っている。
Mr.Dは、アンドロイドの処分場で見つけたセクサロイドを、何の迷いもなくそう呼んだ。
それからライラが彼女の名前だ。


「有難う、ライラ。もう下がっていいぞ。」


私はライラに笑顔を向けてやる。ライラは、私に噛み付きそうな勢いで、


「どういたしまして!」


と言うと、そのまま部屋を出て行った。

部屋を出る時、男を物凄い勢いで睨みつけ、力任せにドアを閉める。
私がその気性の激しさに肩をすくめて振り向くと、男はよほど腹が空いていたのか、すでに食事に手をつけていた。
食事、と言っても、水と非常用の固形食料で、男は飲み下すのに相当苦労していた。


「おい、ゆっくり食った方が……」