サファイヤアンドロイドの夢

「ジェイル!ジェイル!ドアを開けて!」


ドアの外でライラが叫んだ。
私がドアを開けると、両手でトレイを持ったライラが部屋に入って来た。


「貴重な人間用の食料を、こんな奴にやることないのよ。」


ライラは、私にそう言うと、トレイをベッドサイドまで運び、乱暴に置いた。


「彼女、名前なんて言うの?」


さっさと出て行こうとしたライラに男が聞いた。
ライラは答えずに私を見る。


「答えてやれ。名前を聞くのが趣味らしいから。」


私は笑いながらライラを促す。
渋々とライラが答えた。


「ライラよ。」


「ライラ。」


男は、初めて口にする単語のように、その名を繰り返した。
ライラ、ライラ、ライラ。