サファイヤアンドロイドの夢

私は部下に命令して男を部屋まで運ばせた。
男をベッドに寝かせる頃には、ライラは手早く掃除を済ませ、姿を消していた。

部屋は、長い間締め切られていた独特のホコリくさい匂いで満ち、男が運びこまれると男の身体中に塗りこまれた消毒液の匂いと交じり合った。

私は部下達を下がらせ、ライラを探して呼んでくるように言った。
男は薬が効いているのか呻く事もなく眠っている。

Ｍｒ．Ｄが使っていたベッドで。

３年も経っているんだぞ、ライラ。

Ｍｒ．Ｄの匂いなんて最初から残っていない。

それともライラ、おまえはこのベッドで眠れば、Ｍｒ．Ｄの匂いに包まれて、
彼の夢でも見ることが出来るとでも言うのか。