サファイヤアンドロイドの夢

今車を発進させてもアンドロイド達は気づかないだろう。男は黙って車を発進させた。案の定追いかけてくるアンドロイドは一体もいなかった。
暫く走ってから男がナビゲーターが壊れていることに気が付いた。レーザーで装置が焼切られてしまったらしい。砂漠の真ん中では端末の通信も使えなかった。


「どうする?」


男が私にそう言った。私は何も答えない。


「取り敢えず、下手に動いて車のエネルギーを食いつぶすよりここにいたら到着が遅いって心配した本部から捜索隊が出るだろ。」


私が何も答えずにいると、男は、私の頬の涙の跡を指で拭った。


「しょうがねえよ。自分が生きるか死ぬかって時に、仲間なんてどうでもよくなっちまうのは人間もおんなじさ。」


男は、私が例の共食いの場面を見てショックを受けたと思っているらしい。私は涙の跡を隠そうとごしごし目元を擦り、男から離れる為に後部座席に移った。