サファイヤアンドロイドの夢

「どーせまたMr.Dとやらが右足から靴下を履いてたとか言うんだろ。いいよ、俺、明日から左から履くよ。」


男は拗ねたようにぶつぶつと独り言を呟いている。
だが、私の心は、平常心を取り戻す事が出来なかった。

さっき渡した靴。

私は無造作に見つけた靴を拾い上げ、男の足元まで運んだ。
だが、なぜ、そこにあるとわかったのだろう。

男は、靴を机の下にきちんと揃えて脱いでいた。
他の衣服があれだけ散らばっていたのだから、靴だけは、最初からここで脱いでいたのだ。