「こうやってみんなで夜の海を眺めるのって初めてだよね」


良ちゃんが砂浜に仰向けになりながら言った。


あたしも良ちゃんと同じように、両手で枕を作って仰向けになる。


一定のリズムで音を立てる波と、不規則に瞬く星の光。


「ここの空は星がキレイに見えるけど、今日は日本のどのくらいの地域で星が見えてるんだろうね」


突然不思議な質問をし出したのは、海だ。


少し頭を起こして海を見ると、あたし達の真似をして仰向けになっている。


あたしは、腕で作った枕に頭をそっと戻し、みんなで星空を眺めた。


「空は世界にひとつしかないのにさ、その場所場所で見える表情が違うんだよね。不思議じゃない?」


海に言われるまで、あたしはそんなこと一度も考えたことなかった。


でも、こんなことを急に言いだすなんて、一体どうしたんだろう。