うわ……! なに、これ……!
圭の背中の向こう側に、あたし達の背丈と同じくらいの小さな祠がひっそりと建っていた。
木で造られた祠は、少し湿っていて所々コケが生えている。
祠の後ろは崖になっていて、ちょうどあたし達の目線の位置で木の根がむき出しになっている。
今にも倒れて来そうだ。
「この前、ネットでここを見つけたんだ」
祠に目を向けたまま圭が言う。
「母子の神が祭られてるんだって」
母子の、神……。
「よく安産祈願で来る人が多いみたいだけど、俺も一度ここに来てみたくてさ」
そう言って、圭はあたし達を振り返った。
「この島のことは何でも知ってるつもりだったけど、俺らって知らないことがまだまだたくさんあるな」


