「あっ! 圭(けい)」


あたし達の横を素早く通り過ぎて行った一台のバイク。


校則違反だと知っていながらヘルメットをかぶらず、毎朝キラキラと輝く茶髪をなびかせて走っている。


相変わらず、カッコイイ……。


あたしと良ちゃんと圭は、小さい頃からずっと一緒にいる幼なじみ。


あたしと良ちゃんが4月生まれで、圭が6月生まれと誕生日も近いせいか、かなりの仲良しだ。


多分家族よりも長い時間を一緒に過ごしていると思う。


小さい頃は何をするにも3人一緒だったのに、高校2年になった頃、圭は急にバイクの免許を取り、ひとりで登校するようになったの。


それまでは、あたし達幼なじみの3人で自転車で登校してたのに……。


ひとりだけ色気づいちゃって。


「良ちゃん! 圭を追いかけて!」


馬のお尻をムチで叩くように良ちゃんの肩をバシバシ叩くと、良ちゃんは「毎朝毎朝勘弁して」と言いながらも、一生懸命自転車をこいだ。


何だかんだ言いながらスピードを上げてくれる良ちゃんが可愛くて仕方ない。