あたしはサッと圭から目を逸らし、良ちゃんの後ろに立つ。


後ろめたくて、顔を伏せながらチラリと横目で圭を見ると、


圭はスッと自転車を走らせ、風に襟足を揺らしていた。


「……あ」


良ちゃんも、圭のあとに続き自転車を走らせる。


7月中旬の島の朝は、尋常じゃないほど暑い。


家を出て数分しか経ってないのに、もう首筋を汗が流れていく。


良ちゃんの後ろ髪も、汗で少し濡れていた。


「良ちゃんの鞄、今日はパンパンだね」


自転車のカゴの中に収まる良ちゃんのスクールバックは、はち切れそうな程ふくれていた。


「キャンプに必要なもん全部入れてきたんだよ」


「必要なもの? 全部向こうに揃ってるんでしょ?」