「いやぁ……まぁ、ちょっと良久とな……」
言いにくそうに言った圭は、傷を舌でなめて顔を歪めた。
……良ちゃんと?
はっ……
良ちゃんのあの腕の傷……
「良ちゃんと、ケンカでもしたの?」
眉を寄せると、圭は苦笑しながら頷いた。
「まぁ……ケンカっちゅーか、目を覚まされたっちゅーか」
曖昧に答えた圭に、首を傾げる。
「おまえと連絡を取らない俺に、イライラしたんだろ」
「………」
「あいつ、帰ってくるなり俺を殴りやがった」
……良ちゃんが?
「“歌恋に辛い思いをさせるな”って、“このまま歌恋を放置するなら、俺がもらうぞ”って……。
久しぶりに聞いたよ、良久の怒鳴り声」
ハハっと笑ったあとに、痛そうに顔を歪める。
久しぶりに……って。
あたしは、良ちゃんが怒鳴り声を上げ自分を“俺”と呼んだのを、昨日初めて聞いたのに……
前にも、圭と良ちゃんは声を荒げてケンカしたことがあったってこと?


