いつもは何も考えずに、良ちゃんの肩に手を置いて自転車の後ろに立てるのに。


今日は、手が震えてるんじゃないかって思うだけで、緊張感が増した。


おずおずと圭の肩に手を乗せ、ゆっくりと自転車の後ろに立つ。


圭が自転車をこぎ始めると、とてもスムーズに走りだし、すぐに風に乗り出した。


サーっと流れる風。


良ちゃんの時に比べて少しスピードが速く、膝上のグレーのスカートがハタハタと風に靡いた。


ゴマ畑の白い花が揺れるのと同時に、あたしの黒髪と圭の眩しい茶髪が流れて行く。


「帰り、良久んとこ寄ってくだろ?」


圭が少し顔を後ろに向ける。


あたしは圭の声を聞き取ろうと、横髪を耳に掛けながら圭に顔を近づけた。