「歌恋!」


毎朝恒例の“ドタバタ準備”をしていると、窓の外からあたしを呼ぶ声が聞こえてきた。


瞬間、ピタリと準備の手が止まる。


……ん?


この声……圭?


スクールバックを床に下ろし、ベッドに乗り上げて窓から外を見下ろす。


窓の開いた音に反応した圭が、ムスっと上を見上げた。


「また寝坊かよ」


「え? なんで?」


なんで、良ちゃんじゃなくて圭がウチにいるの?


しかも、バイクじゃなくて自転車で。


「寝ぼけてないでささっと降りてこい! 置いてくぞ」


「あ、ま、待って!」


ピシャリと窓を閉め、スクールバックを再び肩にかけ階段を駆け降りた。


「こらっ! いい加減静かに階段を降りるように……」


「ごめん、お母さん! 説教は帰ってから聞くから!」