「悪いなと思ってさ」
絶対に怒られると思って身を縮めていると、予想外の言葉が圭の口から出てきたのでまた目を丸める。
「俺達、付き合うようになったけど、この島にはおまえを楽しませてやれる場所なんてないからさ」
……圭
「普通はプレゼントをやったりデートスポットに行ったりして楽しむんだろうけど、ここじゃそんなんできないし」
圭は照れ臭そうに下を向いてから、また目を細めて海を眺めた。
太陽の日差しが白い砂浜に反射して、圭の白い肌をキラキラと輝かせる。
照れる圭も、ブスっと膨れる圭も、クールな圭も。
圭の全てが好き。
この島では普通の高校生がするようなデートはできなくても、あたしは圭とこうやって一緒にいられるならそれだけで十分。
圭の気遣いが嬉しくて、あたしはそっと圭の手を握った。
ピクリと反応した圭の手。
少し緊張気味にあたしを見下ろす圭が、愛おしくて仕方ない。


