砂浜に着くと、先についていた圭が海を眺めて両手をポケットに突っ込み立っていた。


あたしが砂に足を取られながら圭の元に足を進めると、太陽の陽ざしを避けるように顎を引いた圭がこちらを振り向いた。


潮風に揺れる圭の前髪の奥に、ギュっと細める色気たっぷりの目が見える。


「どうしたの? 急にこんなところに来いなんて」


あたしは圭の隣に行き、眩しさに目を細めて見上げた。


「どうしたのって、デートじゃん?」


「で、デート!?」


圭の口からそんな単語が出てくるとは思わなくて、何故かサっと身を引いてしまった。


あたしの行動にムっとした圭が、乾いた笑いをもらし体ごとあたしの方を向く。


圭の不機嫌な表情に、ヤバっと口を横に引き、あたしは圭から目を逸らした。