『まぁ、いいや。
ヒマならさ、ちょっと出て来て』
『え? どこに?』
『星砂の浜』
……星砂の浜?
あのキャンプ場の砂浜?
あたしは電話を切ると、グレーのざっくりニットとスキニーパンツに着替え家を出た。
昼を過ぎたばかりのこの時間は、とても過ごしやすい風が吹いている。
下ろした肩下の髪が緩やかな風に揺れ、横髪を耳に掛けた。
海岸沿いの、ずっと一直線に続く道をひとり歩き、たまに潮風に目を細めながら薄い青色の海を眺めた。
白い砂が透き通るほどキレイな海が、はるか遠くまで広がっている。
卒業したら、この海のはるか向こう側に行くんだ。
覚悟してるつもりなのに……まだまだ寂しさには勝てない。
弱いな……あたし……


