小さな恋の虹〜キミと描く夢〜



「それだけ、カメラが好きだって事だよな」


圭の声が、切なく集合写真の上に落ちて行った。


海は、片時も離さずカメラを手に持ってたもんね。


あのキャンプの日も、夜の浜辺でみんなで夢を語り合って、海はずっとカメラを撮り続けられたらいいなって言ってたし。


神奈川でも、いっぱい写真を取れてたらいいな。


「この写真を使ってどんな絵にする?
これだけ量があれば、それなりにすごいものが作れそうだけど」


良ちゃんが、一枚一枚写真を見ながら『う~ん』と考えて眉間に力を入れた。


この写真を使って、一枚の巨大な絵を作る……

何だろう……


ここにある写真は、殆どがみんなの笑顔がメインに映っていて、遠くから見たら肌色が全体を占めている。


海への贈り物と、卒業と閉校の思い出も兼ねた作品。


今まで長い間15人でひとつだったのに、閉校を前に、遠くへ行ってしまった友人。


島に残った14人で、海の残した写真でひとつの作品を作ろうとしていて。


どんなに離れていても、どんなに違う表情の空を見ていても、あたし達の友情に変わりはなくて。


ずっと一緒だよ。っていう、証の……