「良久が言ってたジンクスは、嘘じゃない」
「………」
「だけどアイツは、肝心な部分をおまえに言ってないんだよ」
……肝心な部分?
なに、それ……
「ジンクスが叶うには、全ての条件が揃ったうえで願いをし、そのあと、願った相手が、偶然にもその場に現れないといけないんだ」
……え?
圭の視線が、デジカメの画面からあたしに上げられる。
間近で合う、圭との視線。
「意味……わかる?」
圭は、真剣な表情をして、あたしを真っ直ぐ見据えた。
わかる……わけがない。
願った相手が、偶然、その場に現れる?
あたしがジンクスを実行しに行った時、空は晴れているのに、キセキにも空から雨が降り出し、その後、小さな虹がかかった。
でもそれは、あたしをからかう為に圭がホースで偽の雨を作りだしたからで。
あたしは偽物の虹だとは知らずに、圭の名前を心で呼び願いを唱えた。


