小さな恋の虹〜キミと描く夢〜



あたしが声を漏らすと、ページをめくっていた圭の手が止まった。


体育館のドアから、空を不安そうに見上げるあたしの後ろ姿。


その後ろには、少しぼやけているけど、あたしの方を向く圭の後ろ姿まで映っていた。


なんだ……

人目を盗んでこっそり見上げてたつもりなのに、海にも圭にも見られてたなんて。


最初から、ジンクスなんて成功していなかったんだね。


「なぁ……」


圭が、デジカメの画面に目を落としたまま微笑んだ。


あたしは、『ん?』と眉を上げる。


「あのジンクス、続きがあるって知ってるか?」


「続き……?」


どういうこと?


良ちゃんが教えてくれた文化祭のジンクスは、文化祭当日に雨が降っていて、午後から晴れるのを見計らってガジュマルの木の下に行き、そこで誰にも見られることなく虹を見て願いを唱えれば成功だ。


あたしは、雨乞いという恥ずかしい姿を圭に見られて、失敗に終わったけど。


あのジンクスの条件は、まだ他にあったってこと?