小さな恋の虹〜キミと描く夢〜



あたしも紅茶のカップに口を付け眉を上げる。


すると、圭は『いないな、多分』と、クククと笑った。


「早く終わらせて安心したいけど、そしたら今度は合格発表を待たないといけないし」


あたしは、ガタンと、鈍い音を立てて机におでこを付ける。


「そしたら次は卒業式と閉校式でしょ?」


「………」


「あ~!! 受験終わってもあとは寂しいイベントしか残ってないじゃん~」


グリグリと問題集におでこをこすりつけ、前髪を複雑に絡ませる。


そんなあたしを見て呆れたのか、頭上から圭のため息が聞こえ頭を上げた。


ボサボサになった前髪を手櫛で解いたけど、なかなか元に戻らない。


圭はスっと立ち上がると、あたしの机の上から海のデジカメを手に取って戻ってきた。


画面を指で操作し、おさめられた写真をひとつひとつ見ていく。


「これ、なんか形にして残したくね?」


突拍子もなく圭が言った。


「せっかく海が俺達に残してくれたんだからさ。
俺達も、海に何かして送ってやろうぜ」