「……ぷっ。 “なんでもないッス”って、男か」 圭が、口元に手の甲を当て目尻にシワを作る。 キラキラと自己発光する圭が、眩しくて直視出来なかった。 あからさまに目を逸らすと、圭は大きく息を吐いてもう一度空を見上げた。 「明後日、終業式かぁ……」 しんみりと圭が言う。 「早いな」 圭が空からあたしに視線を落とし、切なく微笑んだ。 あたしも、微笑みながらコクンと頷く。 別れが、刻一刻と近づいている。 あたしも圭の真似をして空を見上げると、吐く白い息に、右へゆっくりと流れる雲が重なった。