ドキン――。
ああ、もう。
どうして圭はいちいちあたしの心を高鳴らせるんだろう。
ひとつひとつの動きが眩しすぎるんだ、バカ。
ピィ――ッ!
海の時と同様、体育教師のホイッスルの合図に合わせ、あたし達3人は同時にスタートを切った。
3人で肩を並べて走ったのは、スタートを切った直後のほんの一瞬だけ。
あたしはすぐに良ちゃんと圭に置いて行かれ、ポツンとひとりになった。
あたしとの差をグングン広げていくふたり。
あたしは、体育の成績なんてもうどうでもよかった。
だって、タイムを気にするどころじゃない。
あたしの目の前を走る圭の背中。
良ちゃんも負けじと圭と肩を並べている。
ふたりは張り合っているのか、競争心むき出し。


