カメラの画面を覗き込んで、海がケラケラ笑う。
老婆だと?
酷いっ!!
誰のせいで眉間にシワが出来てると思ってるの?
「海っ!
今の削除しろ!!」
あたしはガタンと勢いよく席を立ち、廊下に出て海を追いかけた。
素早く逃げる海は、走りながら器用にカメラをスクールバックの中に入れ、あたしを振り返る。
「これは宝だから、ダメー!!」
ケケケと笑い、階段を駆け下りて行った。
あたしは階段を下りる前に海を追いかけることを諦め、口笛を吹いてバタバタと走る海の足音を聞いていた。
“宝”……か。
海も、自分の転校にショックを受けてるのかな。
前から海は何でもカメラに収める人だったけど、最近ではその頻度が増してるような気がする。
もうすぐ転校しちゃうから、出来るだけ思い出を残そうとしてるのかな。
寂しい……


