一気にパニックになる頭。
あたしはハッとしてガジュマルの木から顔を出し、辺りをよく見てみる。
すると、濡れていたのは、木の周りだけだった。
他の場所はカラカラに乾いている。
今のこれは、キセキの雨なんかじゃなくて、圭が作り出した偽物の雨……?
しかも、アホっぽい雨乞いを好きな人に見られると言う、最悪なパターン。
穴はどこですか?
今すぐ、穴にダイブしたいんですけど……
「雨降ってよかったじゃん」
背後で聞こえた圭の声は、明らかに笑いを堪えて震えていた。
「酷い……
あたしの気持ちを弄んだ……」
あたしはブスっとして圭を振り返る。
圭はホースを地面に置くと、両手をポケットに入れながらあたしの方へ歩いてきた。
眩しそうに眉を寄せ、あたしの横で空を見上げる。


