「うわ……虹だ」
晴れ雨の空に、微かだけど小さな虹がかかっていた。
願いも聞いてくれないような小ささだけど、あたしには十分だ。
あたしは、今にも消えそうな小さな虹に向かって手を組み、目を閉じて願いを唱えた。
“赫 圭と、ずっとずっと一緒にいられますように”
あたしの願いは、これしかない。
ずっとずっと永遠に、圭の隣にいたい。
「きゃっ!!」
突然、今まで上から降っていた雨がなぜが後ろからの雨に変わった。
背中に冷たさを感じハッと振り返ると……
「圭っ!?」
あたしの後ろには、水道から伸ばしたホースを握り、あたしに向かって放水している圭がクールな表情で立っていた。


