離れたくない……。
圭がこの島に残るなら、あたしもこの島に残りたい。
…………。
あれ?
あたしはどうしてこの島を出て大学に行くんだっけ?
卒業生みんなが島を出て行くから?
良ちゃんも島を出て大学に行くから?
圭のように、夢があって、それを叶える為に島を出るんじゃない。
……どうして?
根本的なことを考えたことがなくて、あたしは焦りを感じた。
もちろん、圭の質問にも答えることが出来ずに、あたしは黙り込んだ。
そんなあたしを見て、圭が苦笑する。
「おまえに聞いてどうすんだよってな」
圭はそう言って、ベンチから立ち上がった。
「もうちょっと、悩んでみるわ」
ポケットに両手を突っ込んだ圭が、ずっと座りっぱなしのあたしを見下ろし片方の眉を上げる。


