「なぁ、歌恋」
圭に名前を呼ばれ、体中にピリッと電気が走ったような痛みを感じた。
圭の視線が、空からあたしへ下りてきて、あたしは身動きが取れなくなった。
「俺、どうしたらいいと思う?」
圭が、切なく目を細める。
あたしは、圭の目を左右交互に見つめた。
どうしたら……?
圭の夢の実現と、お母さんのお店を守ることと。
どちらかを選択しなきゃいけないんだ。
圭が自分の夢を叶えるのなら、あたし達と一緒に島を出て大学に通うことになる。
だけど、お母さんのお店を守ることを選択したら、圭は、この島に残るってことになるんだよね……。
あれ……何でだろう……。
なんか、すごく胸が痛い。
お母さんのお店を守りたいと思う圭の気持ちはすごいと思うのに。
圭がこの島に残ると思うと、チクチクと胸が痛くなる。


